スポーツあれこれ by 星野恭子

パラスポにも「専任コーチ制度」

 報道によれば、日本パラリンピック委員会(JPC)は3日、2020年東京パラリンピックを見据えた選手強化の一環で、トップ選手の指導を担う「専任コーチ」制度を今年度から始める方針を明らかにしました。日本では現在、パラリンピック競技の指導者の大半はボランティアですが、「専任コーチ」は一定条件のもとで指導などの活動に対して報酬が支給されることになり、指導に集中できる環境が整います。同様の制度は、すでにオリンピック競技では導入されています。JPCでは、初年度は国からの予算4000万円を充て、陸上や水泳などから約10人の専任コーチを選定する予定で、今後も競技団体と協議しながら、増員を検討していくようです。

 たしかに現状では、パラスポーツのコーチや指導者には特別支援学校の教員や障害者スポーツセンターの職員など業務の延長で携わるようになり、そのままボランティアで続けている人たちも多いです。また、選手経験があるなど競技との関係から携わるようになったものの、職場の理解が得られないなど本業との兼ね合いで長期の合宿や海外遠征の帯同などは制限せざるを得ない人たちも少なくありません。「専任コーチ」制度は、そうした現状の改善に役立ち、また、専門性の高い指導という意味では、パラリンピアンのセカンドキャリアの可能性も広がるかもしれません。

 もちろん、まだ枠も限られているし、パラスポーツの場合は指導の対象となる選手層がうすいという課題もあり、2020年大会後にも制度が続くのか将来的な不安は残ります。でも、現状に100パーセント満足していない限り、新たな試みは現状を変えるいいチャンス。どう機能し、どんな広がりを見せるか、期待をもって見守りたいと思います。

(文:星野恭子/2015年4月5日付/ノーボーダー)

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