スポーツあれこれ by 星野恭子

2017年パラ陸上世界選手権では、表彰式が競技場外の特設ステージで開催された。誰でも無料で入場でき、連日、多くの観客で盛り上がっていた。写真は女子400m脳性まひクラスの表彰式。イギリス選手が金メダを獲得し、会場はひときわ大きな歓声に包まれた。

「ポスト2020」の一歩。2021年にパラ陸上世界選手権が神戸で開催へ!
<4月度まとめ>

※写真上:2017年パラ陸上世界選手権では、表彰式が競技場外の特設ステージで開催された。誰でも無料で入場でき、連日、多くの観客で盛り上がっていた。写真は女子400m脳性まひクラスの表彰式。イギリス選手が金メダを獲得し、会場はひときわ大きな歓声に包まれた。

4月23日、嬉しいニュースが届きました。「2021年世界パラ陸上競技選手権大会の開催都市が神戸市に決定」と発表されたのです!

パラ陸上の世界選手権はパラリンピックにつぐ規模とステータスの大会で、2年に1度開催されています。第10回の記念大会となる2021年の神戸大会は日本ではもちろん、東アジアでの開催も初めて。100カ国から約1300選手の参加が見込まれています。

会場はユニバー記念競技場で、開催時期は2021年9月の10日間。2020年東京パラリンピックから、ちょうど1年後に再び、パラ陸上のスター選手たちがここ日本に集結するというわけです。

東京パラリンピックで燃え上がったパラスポーツの炎を、2020年後に絶やさないためにも、まだ記憶の新しいうちに「大きなイベントが続くこと」は重要です。

パラリンピックの歴史上、2012年のロンドン大会はエポックメーキングな大会として刻まれています。パラリンピックの生まれた国で開かれたこと、観戦客数など数々の記録が生まれたこと、そして、パラリンピックの役割や価値を広く世界に知らしめたこと、などなど。そして、さらにすごいのは、その人気を定着させ、今も高めていることです。

2012年ロンドン・オリンピック・パラリンピックの舞台、「オリンピックパーク」は今、市民の憩いの場に

その陰には、「盛り上がりを絶やさない努力」が大きかったと思います。ロンドンは「オリンピックパーク」をレガシーとして残して活用するなど、2012年以降も大小さまざまなパラスポーツ大会を誘致、開催してきました。観て触れる機会が多いことは「感動の記憶」を呼び覚まし、さらなる関心向上や人気獲得への大きな力となったことは間違いありません。

「その証拠」を強く感じたのが、トップ写真でも紹介している2017年世界パラ陸上選手権大会です。ロンドンパラリンピックから5年、その舞台となった「オリンピックスタジアム」で開催された、この大会には約90の国と地域から1150人以上もの選手が集いました。

そして、10日間にわたって繰り広げられた熱戦に対し、チケット売上総数は約30万5000枚(主催者発表)。これは当時、パラリンピック大会以外で世界中のパラスポーツ大会で販売された有料チケットの総計を大きく上回る数字だと発表されました。一日2万人から3万人がチケットを買ってスタジアムに訪れたことになります。

また、パラアスリートのチャレンジする姿から、子どもたちはいろいろ学ぶことが多いはずだという考え方から、招待チケットが学校単位で配布されたそうです。そのおかげもあり、期間中に観戦に訪れた子どもたちは10万人以上。子どもたちの声援は選手たちにも大好評でした。

2017年7月、「世界パラ陸上競技選手権」の大会告知が掲載されたロンドンの無料情報誌

観客席の応援も温かったです。手拍子やウェーブもタイミングよく行われ、選手の背中を押しました。また、「スタート時には静かにする」「視覚障害クラスの競技でも、黙って見守る」といった観戦マナーもしっかりと根づいていました。観客たち何人かに声をかけたところ、「◯◯選手を応援にきたの!」という人が少なくありませんでした。競技だけでなく、個々の選手がファンを獲得していたことに当時、驚きと羨望を感じたことを思い出します。

そんな状況が2021年の神戸大会でも見られるといいなと思います。神戸大会の開催決定にあたり、日本パラ陸上競技連盟の増田明美会長も、「世界から来たアスリートや関係者は神戸の街並みをきっと喜んでくれることでしょう。2020年東京パラリンピックでの盛り上がりの追い風を受けながら、この大会を通じてさらに障がい者スポーツ、パラ陸上が盛んになってくれればと思います」と期待を寄せています。

まずは、来年の東京パラリンピックが成功させること。そのためにも今は、少しでもパラスポーツファンを増やせるように、精いっぱいさまざま取り組んでいかねば、と思っています。

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<2019年4月度>
■寄稿:
⇒【パラスポーツ】パラスポーツを観にいこう! ~4月に開催予定の主な大会・イベント情報(ノーボーダー/2019年4月1日付)

⇒【東京2020】「はじめまして」の3人がつなぐ、桜色のトーチ~東京パラの聖火リレー概要発表(ノーボーダー/2019年4月8日付)

⇒【東京2020】「躍動するアスリートの美しさ」を図案化。東京パラの競技ピクトグラム23種類発表!(ノーボーダー/2019年4月15日付)

⇒【ボランティア】ボランティア活動が、地域社会に貢献する楽しさとやりがいが体験できる場になるように(日本スポーツボランティアネットワーク/2019年4月18日付)

⇒【ボランティア】聴覚障害者向け遠隔手話通訳ツールを提供開始~東京2020大会ボランティアオリエンテーション(日本財団ボランティアサポートセンター/2019年4月20日付)

⇒【パラスポーツ】多様性を受け入れる、ダイバーシティ実現の鍵は幼児教育にあり(東洋大LinkUp/2019年4月22日付)

⇒【陸上競技/パラスポーツ】東京の名所を巡る、東京パラのマラソンコース決定!/パラスポーツを観にいこう!(5月度編)(ノーボーダー/2019年4月22日付)

⇒【パラスポーツ】バリアフリー社会を実現する「ユニバーサルデザイン」とは?(東洋大LinkUp/2019年4月29日付)

(kh)

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いっしょに走ろっ!―夢につながる、はじめの一歩

「走る」をテーマにさまざまな人々の挑戦を集めた一冊。2012年ロンドンパラリンピック出場を目指す、義足のジャンパー中西麻耶選手と義足職人やコーチたち、全盲のランナー和田伸也選手と伴走者たち、そして、視覚障害ランナーの伴走ボランティアに挑む福井県の中学生たちのドキュメント。

伴走者たち―障害のあるランナーをささえる (ドキュメント・ユニバーサルデザイン)

「障害があってもスポーツを楽しみたい」人たちと、周囲で支える人たちを追いかけた一冊。視覚障害や知的発達障害のある人たちと伴に走る人々の絆や、脚を失った人たちと義足をつくる職人の信頼関係のストーリー。

ユニバーサルデザイン―みんなのくらしを便利に〈2〉くらしの中のユニバーサルデザイン

図鑑「ユニバーサルデザインーみんなのくらしを便利に」シリーズの1冊。障害のある人やいろいろな立場の人の、それぞれの使いやすさを考えて工夫されている商品やサービスに注目。前半では製品のユニバーサルデザイン、後半では情報のユニバーサルデザインについて、豊富な写真と専門家の解説などで紹介。